美味しいスペイン料理に、熱狂的なサッカー、独特の景観と親しみやすい国民性から、「死ぬまでに行きたい国」の常連でもあるスペイン。
人気の観光だからこそ、「ディーブなスペイン旅行がしたい」「スペインの面白い文化を知っておきたい」とお考えの方も多いのでは?
この記事では、スペイン観光がもっと楽しくなる18の豆知識&雑学をご紹介します。
あっ!と驚くものや笑えるネタまで盛りだくさんです!
▼目次▼
- 1. スペインの絵画修復は失敗しまくっている。
- 2. オリーブオイルの生産量世界一はスペイン。
- 3. サグラダ・ファミリアの建設は1882年に始まった。
- 4. スペイン人の56.7%は一度もシエスタをしたことがない。
- 5. スペインはマヨネーズ発祥の地。
- 6. 闘牛はスペインの国技。
- 7. スペイン文化では1日に5回食事をする。
- 8. 「タパス」はスペインの小皿料理。
- 9. 世界初の近代小説はスペイン語で書かれた。
- 10. スペインにはヨーロッパ最古の壁画がある。
- 11. 世界最古のレストランはスペインにある。
- 12. スペインの記載はトマト祭りだけじゃない。
- 13. スペインの国歌には歌詞がない。
- 14.一食22万円の超高級レストランがスペインのイビザにある。
- 15. スペインは約800年間イスラームの支配下で繁栄した。
- 16. スペインは中央ヨーロッパ時間を使用している。
- 17. スペインには世界最多のブルーフラッグビーチがある。
- 18. スペインには4つの公用語がある。
1. スペインの絵画修復は失敗しまくっている。
なんとも不名誉な豆知識からスタートとなりますが(こういうネタ大好き)、これを紹介しないと始まらない!
スペインの度重なる芸術作品「修復失敗」のニュースは、日本でも取り上げられるほど有名です。
特に全世界を震撼させたのが、2012年にボルハの教会で起きた「エッケ・ホモ事件」。
なにそれ?と思う方も、この写真をみたら「あれね〜!!」となるのでは?
犠牲となった作品「エッケ・ホモ(Ecce Homo = この人を見よ)」は、キリストが茨の冠をいただく様子を描いた約120年前のフレスコ画です。
なんと、この貴重な作品の修復を手がけたのは、地元に住む素人のセシリア・ヒメネスというおばあちゃん!
「剥がれそうだったから」と善意で行った修復はあまりにもひどい仕上がりで、「サル・キリスト」と別名がつくほど。
このセンセーショナルな「修復」は、瞬く間にインターネットミームとなり、世界中から失笑を買いました。
と、ここまでは聞いたことのある方も多いと思いますが、この話には続きがあるのを知っていましたか?
皮肉にも、この修復された「エッケ・ホモ」観たさに、世界中から観光客が殺到!
1年間で5万7000人もの観光客を引き寄せる観光名所となったのです。
教会は入場料を徴収し始め、さらにはグッズ化までされて、著作権まで発生する始末。(グッズ欲しいのわかる)
もちろん修復を手がけたセシリア・ヒメネスさんには、著作権使用料(しかも49%!)が支払われ、地元で開催した個展も好評を博しました。
一方で、原画を描いた画家の子孫たちは、作品が元の姿に戻されないことに不満を抱いています。この事例は、文化財の保護と商業的利用のバランス、そして芸術作品の価値をどう定義するかという難しい問題を提起しています。
この「エッケ・ホモ事件」の後にも、「聖ジョージ像事件」や「無原罪の御宿り複製画事件」など枚挙にいとまがありません。
ついこの間も天使像の修復が失敗して、日本のお茶の間を騒がせてましたね。
インターネットでは、「またスペインか」「もう驚かない」「修復というか、”破壊”」といった声も上がっています。
もはやスペインの「お家芸」ともいえる芸術作品の修復失敗ですが、なぜこのような事件が起きてしまうのでしょうか?
そもそも、絵画や彫刻などの芸術作品は経年劣化によって傷んでしまうため、後世に伝えるためには定期的な修復作業が必要です。
ですが、現在スペインには専門家以外の修復を禁止する法律がありません。
スペインの美術保全協会(ACRE)はこれについて、「保全・修復の専門家は近年、仕事に恵まれず、海外へ拠点を移したり廃業したりせざるを得なくなっている」と強く批判し、文化財保護に対する意識を高める必要を訴えました。
現在、スペイン政府は文化財修復の規制を強化し、専門家による監督体制の整備を進めています。
このようなおもしろニュースが減るのはやや寂しい気もしますが、スペイン文化と芸術保護の観点からは必要不可欠な動きといえるでしょう。
2. オリーブオイルの生産量世界一はスペイン。
スペインは、世界一のオリーブオイル生産国として知られており、実に世界のオリーブオイルの約40%がスペイン産!
この圧倒的な生産量は、スペインの気候条件、長年培われてきた栽培技術、そして国を挙げての産業支援が相まって実現しています。
その中でも、スペイン南部のアンダルシア地方は、オリーブオイル生産地として有名です。
その理由は、オリーブ栽培に最適な温暖な気候と日照時間の長さ。
また、何世紀にもわたって蓄積されてきた栽培ノウハウと、最新の生産技術が組み合わさっての融合により、高品質オリーブオイルの大量生産が可能になっています。
特にハエン県は、年間60万トンものオリーブオイルを生産しており、これはスペイン全体の生産量の約半分に該当するとか!
県内の農耕地の2/3がオリーブ畑だというから驚きです。
広大なオリーブ畑が地平線まで続いている景色に圧倒されること間違いなしです。
スペインのオリーブオイルの品質は世界からの評価も高く、輸出産業を支えています。
パエリアやタパスなどのスペイン料理に欠かせない食材なのは言わずもがな、健康食品としても注目されています。
毎朝、大さじ一杯程度のオリーブオイルを飲むと消化がよくなったり、悪玉コレステロールが減ったり、さらには美肌効果も期待できるそうですよ!
3. サグラダ・ファミリアの建設は1882年に始まった。
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スペイン バルセロナの象徴として超がつくほど有名なサグラダ・ファミリア(Sagrada Família)は、著名な建築家アントニ・ガウディの「未完の傑作」です。
未完成ながらも、2005年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。
その着工から140年以上が経過した現在も、完成に向けて工事が続けられており、世界で最も長い建築プロジェクトといわれています。
1926年に亡くなるまで、ガウディは約43年もの年月をサグラダ・ファミリアの建設に費やしました。
文字どおり生涯をかけて取り組んでプロジェクトでしたが、生前に完成したのは地下聖堂や生誕のファサードなど、全体のわずか10〜15%。
これを聞くだけでも、いかにサグラダ・ファミリアが偉大な構想なのかがわかりますね!
サグラダ・ファミリアの建設が長期化している主な理由として、次の5つの要素が絡み合っています。
- 複雑かつ独創的なデザイン:ガウディの死後も、彼の構想を忠実に再現するには時間がかかりました。
- 資金不足:サグラダ・ファミリアはカトリックの教会であるため、建設資金の大部分を観光客からの入場料や寄付に頼っているのです。
- スペイン内戦の勃発:1930年代に起きたスペイン内戦で、ガウディが残した設計図や模型の多くが焼失してしまいました。
- 建設許可の問題:2018年に解決するまで、バルセロナ市からの正式な建設許可が得られないまま工事が進められていました。(多分着工当初は「許可」なんて概念誰も持っていなかったのでは?)
- 新型コロナの影響:新型コロナウイルスの流行で、資金繰りが難しくなり、工事が一時中断されていました。
近年の技術革新も相まって、現在では急ピッチで建設が進められており、完成は2026年ごろの予定です。
サグラダ・ファミリアはが完成すれば、高さ172.5メートルの「世界一高い教会」になるといわれています。
完成の瞬間に立ち会えるなんて、感無量です……!
4. スペイン人の56.7%は一度もシエスタをしたことがない。
スペイン文化といえば「シエスタ」を思い浮かべる人も多いと思いのでは?
「シエスタ」という言葉は、ラテン語の「hora sexta(第六時)」に由来し、その名のとおり日の出から6時間後、つまり正午頃を指します。
午後1時から4時ごろの暑さをしのぐための習慣として始まった、スペイン独自のこのお昼寝文化。
驚くことに、現代のスペイン人の半数以上が一度も経験したことがないというのです。
この統計からも、スペインの生活様式が変わってきていることが読み取れます。
シエスタの伝統が薄れつつある主な理由は、都市化と現代的なワークスタイルの普及にあるといわれています。
昔は昼食後に一度家に帰ってシエスタを取ることが一般的でしたが、現在は多くのスペイン人が都市部でフルタイムの仕事に就いており、昼休みに帰宅する時間はありません。
マドリードやバルセロナなどの大都市で働く会社員たちは、お昼休みにオフィス近くのカフェやレストランでさっと食事を済ませ、1時間ほど経ったら仕事に戻るといった、私たちとなんら変わりない勤務スタイルなのです。
一方で、生産性向上のためにあえてシエスタを導入しているスペイン企業や、昔ながらのシエスタの習慣が残っている地域もあります。
しかし、全体的な傾向としては、スペインの生活リズムも他のヨーロッパ諸国に近づきつつあるといえるでしょう。
5. スペインはマヨネーズ発祥の地。
意外なことに、マヨネーズ発祥の地はスペイン。今では料理に欠かせないマヨ誕生秘話を少しお話ししましょう。
時は遡ること18世紀。当時スペイン領だったメノルカ島に、フランス軍が攻め込んできました。
首都マオン陥落後の宴会で、フランス軍に現地の料理人が振る舞った、卵と油を使ったソースがマヨネーズの始まりとされています。
そのソースをいたく気に入ったフランスの指揮官は、それをパリに持ち帰り、「マオンネーズ(マオンのソース)」として紹介しました。
「マオンネーズ(Mahonnaise)」が変化して、のちにフランス語で「マヨネーズ(Mayonnaise)」と呼ばれるに至ったのです。
当時マオンで使われていたレシピを見ると、「オリーブオイルと卵黄を使用し、それらを丁寧に混ぜ合わせて作る」という記述があります。
このように、現代のマヨネーズの作り方とほぼ同じレシビであることからも、スペイン起源説が最有力だといわれています。
現在、スペインではマヨネーズを「マオネサ」と呼ぶこともあり、マヨ発祥の地のプライドを感じますよね!
真のマヨラーなら、本場マオンのレストランでオリジナルレシピのマヨネーズを味わうのも通です。
ちなみに余談ですが、海外旅行中に市販のマヨネーズを食べて、「日本のマヨよりまずい……」とショックを受けたことのある方もいるのでは?(トルコに6年ほどいますがいまだに美味しいマヨネーズに出会ったことがない)
実は、日本のマヨネーズは「卵黄のみ」を使用しているのに対して、海外では「全卵」が一般的だからだとか。
卵黄のみの方がよりクリーミーで味の濃いマヨに仕上がるそうです。(ありがとうございますキュービーさん)
食べてみると本当にその差は歴然!海外旅行にいく際には、ぜひ「利きマヨ」してみてください。
6. 闘牛はスペインの国技。
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スペインの伝統文化に「闘牛」はよく知られています。
ただ、「赤い布をひらひらさせて荒れ狂う牛をかわす」といったざっくりとしたイメージはあっても、そのルールや歴史を聞いたことのある方はあまり多くないのでは?
闘牛の起源は古代ローマ時代にまで遡るとされ、中世の騎士道の影響を受けて発展しました。
18世紀には現在の形に近い闘牛が確立され、マドリードのラス・ベンタス闘牛場や、セビリアのラ・マエストランサ闘牛場など、歴史的な闘牛場が今も残っています。
なんとなく、闘牛とマタドール、一対一のガチンコ勝負と思われがちですが、実は3種類の闘牛士がおり、合計6名のチーム戦。
- マタドール:主役の闘牛士。赤い布で牛を操り、最後の一撃をくらわします。
- バンデリジェ-ロ:マタドールの補佐役で通常は3名。バンデリラと呼ばれる銛を牛に刺して、興奮させる役割を担います。
- ピカドール:2名の騎馬隊。槍を牛に刺して、体力を削ります。
基本的な闘牛のルールをご説明しましょう。
- マタドールが最初に登場し、カポーテ(赤い布)を使って牛を興奮させます。ここで牛の動き方や癖などを見抜くとか……!
- ピカドールが入場すると、牛に槍を刺して弱らせます。
- 3名のバンデリジェ-ロが2本のバンデリラ(飾り付き銛)手に持ち、隙を見て牛に打ち込みます。
- 3名×2本の計6本の銛が刺さった牛とマタドールが、一対一の最終戦を繰り広げます。エストークという特別な剣で、最後の一撃を……。
- 牛が力尽きて倒れると勝敗が決まり、闘牛場から運び出されて試合終了です。
闘牛の見どころは、マタドールの華麗なる身のこなしと、ギリギリまで動かずに牛と対面する度胸。
素晴らしい演技をすると、観客から「オーレ!」という歓声が上がります。
一昔前まで、闘牛士は「なりたい職業」でサッカー選手よりも上位にくるほど人気だったとか……(しかも高給取り!)。
しかし近年では、動物愛護の観点から闘牛に対する批判が高まっているのも事実です。
もともと闘牛に出場する牛は、半野生の環境で育成されており、その体重は約500キログラムもあります。
一度でも闘牛に出た牛は、人間を襲うようになってしまうため、基本的に演技の最後には殺されてしまうのがルール。
私たちが抱いているイメージよりも、結構残酷なのです。
世界的な反対意見の高まりを受け、バルセロナのあるカタルーニャ州では2010年に闘牛が禁止されました。
また、若い世代は特に闘牛への関心が薄れつつあるといわれていて、「消えゆく伝統文化」との見方もされています。
文化の継承と動物愛護とのバランスが難しい闘牛だからこそ、今後はどうなっていくのか気になるところです。
7. スペイン文化では1日に5回食事をする。
日本では「1日3食」が健康的な食生活の代名詞ですが、スペインでは「1日5食」が基本!
長い昼休みや遅い夕食時間など、スペイン独特な生活リズムに合った食文化なのです。
ここではスペイン人の1日を、時系列順にご紹介しましょう。
まず朝起きると、8時ごろから軽い朝食(デサジューノ)を取ります。パンとコーヒーなど、シンプルな朝食です。
11時ごろになると、午前のおやつ(アルムエルソ)の時間!ボカディージョ(サンドイッチ)やフルーツを食べます。
午後2時〜3時ごろになると、遅めの昼食(コミーダ)をしっかり取ります。ランチタイムは5回の食事のうち、最も重要なメインイベント!コース料理を楽しみます。
午後6時ごろになると、2回目のおやつ(メリエンダ)を挟んで、最後に夕食(セナ)で1日を締めくくります。
夕食の時間は夜の8時〜9時すぎで、サラダなど軽めの夜食になるのが一般的です。
スペインでは夕食の時間が遅いため、レストランなどは8時ごろにオープンして、真夜中まで営業しています。
「スペインの夜は長い」といわれる所以はここにあるのですね。
食事の時間によって、それぞれ違うスペイン料理を楽しめるのも醍醐味!
スペイン観光中は、地元民になったつもりで、1日5回レストランに繰り出してみてはいかがでしょうか。
8. 「タパス」はスペインの小皿料理。
スペイン料理を聞くと、「タパス」を思い浮かべる方も多いのでは?(スペインバルの常連さんは言わずもがな!)
タパスは、日本料理でいう「小鉢」に似た、スペインの小皿料理です。
気軽にさまざまなスペイン料理を味わえるので、居酒屋のおつまみのような感覚で楽しむことができます。
タパスの起源には諸説ありますが、最も有力なのは、13世紀のカスティーリャ王国の王様アルフォンソ10世が始めたという説。
病気療養中だった王様が、ワインに砂が入るのを防ぐために、グラスの上にハムやチーズを乗せた皿を置いたのが始まりといわれています。
タパスという名前も、スペイン語で「蓋」を意味する「タパ(tapar)」が語源です。
タパスの種類は実に豊富で、地域によってラインナップはよりどりみどり!
バスク地方では「ピンチョス」と呼ばれる、パンの上に様々な具材を乗せた料理が人気ですが、アンダルシア地方ではフライドフィッシュやハモン・セラーノ(生ハム)などが定番のタパスです。
また、「スペイン人なら嫌いな人はいな!」とまでいわれているタパスに、パタタス・ブラバス(スパイシーポテト)やアルボンディガス(ミートボール)などがあります。
スペインに旅行する際には、お友達とおしゃべりしながらタパスを食べ歩く「タパス巡り」をしてみては?
9. 世界初の近代小説はスペイン語で書かれた。
世界文学史上、最初の近代小説とされる『ドン・キホーテ』は、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスによって書かれました。
この作品は、騎士道物語のパロディとしても知られ、1605年にスペイン語の初版が出版されると、1615年には第二版が刷られるなど一躍大ヒット!
文学の世界に革命をもたらし、現代の小説の基礎を築いた作品といわれています。
では、『ドン・キホーテ』のどんなところがセンセーショナルだったのでしょうか?
この作品が近代小説の草分けとして語られる理由は、当時の常識を覆す物語構造と卓越した人物描写にあります。
主人公ドン・キホーテの心理描写や、現実と幻想の巧みな融合、そして要所要所に散りばめられた社会批評的なエッセンスは、当時の人々にとっては衝撃でした。
たとえば、物語の中で主人公が自分の冒険の描かれた本を読むという「メタフィクション」の手法や、登場人物たちが作者や作品について議論するシーンは新感覚!
また、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの関係性を通じて、理想主義と現実主義の対比を描きだす「深さ」も鳥肌ものでした。
『ドン・キホーテ』の影響は、スペイン語圏を超えて世界中に広がり、ゲーテ、ドストエフスキー、フローベールなど、後世の多くの作家たちがこの作品から影響を受けたといわれています。
現在、『ドン・キホーテ』は50以上の言語に翻訳され、世界中で読み継がれています。
スペイン文学の金字塔として、そして世界文学の傑作として、スペイン旅行前にぜひ読んでみてください!
10. スペインにはヨーロッパ最古の壁画がある。
スペイン北部の洞窟群には、ヨーロッパ最古といわれる壁画が残っています。
なんとこれらの洞窟壁画が描かれたのは、旧石器時代!
いまいちピンとこない方も、この絵を見たら「ああ〜!」と思い出すかもしれません。
そうです。社会の教科書や資料集に必ずと言っていいほど載っているアレです。
日本でも有名なパイソンの群れの壁画は、カンタブリア州にあるアルタミラ洞窟にあります。
アルタミラ洞窟の壁画は、1万4,000年ほど前に描かれたと推定されています。
バイソンの絵は洞窟の天井部分に描かれており、これを発見したのは偶然洞窟を探索していた女の子だったとか。
赤、黒、黄色など天然の顔料を使って色彩豊かに描かれた動物の壁画は、1万年もの月日を感じさせないほど状態がよいので驚きます……!(シンプルに絵心がある)
アルタミラ洞窟は、考古学研究によってその価値が証明され、1985年にはスペインの世界遺産に登録されました。
現在は保存のため、洞窟に立ち入ることはできませんが、同じ技法で精巧に造られたレプリカを見ることができます。
スペイン北部には、このように先史時代の洞窟壁画が数多く残されており、最新の研究では、エル・カスティージョ洞窟の壁画は、約4万800年前に描かれた可能性も……!
スペインの洞窟壁画は、芸術の奥深さと人類の歴史に触れられる貴重な機会を与えてくれるでしょう。
アルタミラの歴史ロマンに浸りたい方は、アントニオ・バンデラス主演映画『アルタミラ』で予習してからの観光がおすすめ!
11. 世界最古のレストランはスペインにある。
スペインの首都マドリードには、「ソブリノ・デ・ボティン」という世界最古のレストランがあります。
1725年の創業以来、約300年にわたって営業を続けているこの老舗レストランは、ギネスブックにももちろん登録済み。
ボティンの歴史は、18世紀初頭にフランス人コックのジャン・ボティンがマドリードに開いた小さな宿屋に遡ります。
宿泊している旅人たちに食事を振る舞っていたところ、たちまちその美味しさが評判となり、大人気レストランに!
ボティンの名物料理は、スペイン中部の伝統料理である「子豚の丸焼き(cochinillo asado)」と「子羊の丸焼き(cordero asado)」です。
これらの看板メニューは、創業当時から変わらぬ製法で調理されていて、400年以上も前から使われている窯を使用します。
子豚の丸焼きは21日齢の子豚を使い、オリーブオイルとにんにくでマリネした後、約2時間半かけてじっくりと焼き上げるというから、ほっぺたが落ちること間違いなし!
ボティンはもはや単なるレストランではなく、スペインの文化遺産の一部でもあるんです。
かの有名なアーネスト・ヘミングウェイ、グラハム・グリーンなど、多くの文学者もここを訪れ、自身の作品の中で触れています。
ヘミングウェイの『日はまた昇る』の最終章に、主人公がボティンで食事をするシーンがありますよね!
現在、ボティンは観光名所としても人気はもちろんのこと、地元の人々からも変わらず愛され続けています。
スペインの食文化と歴史を味わうにはぴったりの場所です。
世界中からボディン目当てに多くの人々が訪れる人気店なので、事前の予約はお忘れなく!
12. スペインの奇祭はトマト祭りだけじゃない。
スペインといえば、大量のトマトをぶつけ合う「トマト祭り(La Tomatina)」が超有名。
若者が喧嘩中に、たまたま近くにあった屋台のトマトを掴んで投げたのが始まりとされているこのクレイジーな祭り。
日本でも、イッテQなどのテレビ番組で幾度となく取り上げられ、一度見たら忘れられない強烈なビジュアルに度肝を抜かれた方もいるのでは……!
世界中から2万人以上の観光客が集まるというトマト祭りですが、これ以外にもスペインには「三大奇祭」と呼ばれるお祭りがあるのを知っていましたか?
- セビリアの春祭り(フェリア・デ・アブリル)
- パンプローナの牛追い祭り(サン・フェルミン祭)
- バレンシアの火祭り(ファジャス)
毎年4月にセビリアで開催される「フェリア・デ・アブリル」は、フラメンコやセビリャーナスなどの伝統的な踊りと音楽を楽しむ春祭りです。
それぞれ華やかな伝統衣装に身を包み、馬や馬車に乗ってパレードする様子は異世界に迷い込んだかのよう!
出店も豊富で、特にシェリー酒が人気です。
日本でも「牛追い祭り」としてよく知られているのが、7月に開催されるサンフェルミン祭。
「牛追い」はスペイン語で「エンシエロ」といい、伝統的な闘牛の一種です。
暴れ牛の群れが走り抜ける中、横にピッタリとくっついて並走するのがよい走り手とされています。
厳密にいうと、牛に追いつかれないように人間が走るので「牛逃げ」といった方が正しいかもしれませんが……!
実際、慣れない走者がつまずいたり、混雑で群集事故に発展したりと、牛追い祭りは非常に危険。
過去には10名ものの死者が出てしまった年もあるほど……。
参加するよりも、遠くから眺めるのが楽しいお祭りかもしれません。
最後のファジャスは、バレンシアで3月に開催され「火祭り」として有名です。
丸一年かけてファヤと呼ばれる巨大な紙製の張子人形を作り、5日間のお祭り中は町中に飾られます。
ですが、最終日なるとすべてに火をつけて燃やしてしまいます!
「もったいない……」と思うかもしれませんが、この火の儀式は圧巻の一言。
汚いものが浄化されるような神秘的な雰囲気に包まれます。
スペインに旅行するなら、このようなお祭りシーズンに合わせて旅程を立てるのもおすすめです。
カラフルな装飾と陽気なスペインを堪能できるでしょう。
13. スペインの国歌には歌詞がない。
スペインの国歌「マルチャ・レアル(Marcha Real)」は、世界でも珍しく、歌詞がありません。
マルチャ・レアルの起源は18世紀に遡り、1770年にカルロス3世によって公式な軍隊行進曲として制定され、1871年にアマデオ1世によって国歌として正式に採用されました。
スペインは地域によって異なる言語や文化が色濃く残る国。
だからこそ、特定の言語で歌詞をつけることで、その他の地域の文化がないがしろにされてしまう可能性があります。
また、スペインの複雑な政治史も影響していて、政権交代のたびに歌詞が変更される……なんてことを避けるためとも。
これまでも幾度となく、国歌に歌詞をつける試みが行われましたが、どれも失敗に終わっています。
たとえば、1928年にプリモ・デ・リベラ独裁政権下で歌詞が制定されたものの、第二共和政時代にはすぐさま廃止されました。
フランコ独裁政権下でも歌詞が存在しましたが、民主化後に再び歌詞のない形に戻っています。
現在のスポーツ大会などでも、気をつけて見てみると、国歌斉唱の際には、メロディーに合わせてハミングしているスペイン人の姿に気づくでしょう。
独特の静寂と荘厳な雰囲気を醸し出す、スペインならではの瞬間です。
14. 一食22万円の超高級レストランがスペインのイビザにある。
スペインのイビザ島にある「Sublimotion」は、世界で最もラグジュアリーな新感覚レストランとして知られています。
一人あたりの料金は、なんと約1500ユーロ(約22万円)!
五感を刺激するグルメ体験というコンセプトのもと、他では味わえない食事を提供しています。
Sublimotionの特徴は、最先端のテクノロジーと高級料理を融合させた独特のダイニング。
20以上のコースが用意されており、それぞれに視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚を刺激する演出がほどこされています。
たとえば、海の生き物をテーマにしたコースでは、高画質ディスプレイになっている壁に海中の映像が映し出され、波の音を聴きながら海の幸を堪能します。
壁以外にも、コースによってテーブすの色やデザインが変わるという凝りっぷり!
なかには、VRをつけながら食べるメニューもあるとか。
Sublimotionを率いるのは、二つのミシュランスターを獲得したシェフ、パコ・ロンセロです。
彼のクリエイティブな料理と、プロジェクションマッピングやVRなどの最新技術を組み合わせることで、従来のレストランの概念を超えた没入型ディナーを実現しています。
料理や食事を芸術に昇華させるアーティスト集団、と言った方が正しいかもしれません!
特別な旅の忘れられない夜に、ぜひ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
15. スペインは約800年間イスラームの支配下で繁栄した。
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8世紀〜15世紀までの約800年もの間、スペインはイスラームの支配下にありました。
現在のスペインという国をイメージすると、少し信じがたい人もいるのでは?
当時のイベリア半島の大部分はアラビア語で「アル・アンダルス」と呼ばれ、広大なイスラーム帝国の一部だったのです。
イスラーム支配の始まりは、ターリク・イブン・ズィヤード率いるベルベル人とアラブ人の連合軍がイベリア半島に侵攻した711年に遡ります。
最初の侵攻から数年以内にほぼ全域を征服し、コルドバを中心に「イスラーム黄金時代」と呼ばれるほど優れた統治体制と文化水準を誇りました。
アル・アンダルスの時代、特に10世紀〜11世紀は文化と学問の黄金期。科学、哲学、医学、数学、天文学、文学など数多くの分野で、世界トップクラスの学者や文化人が誕生しました。
コルドバにはヨーロッパ最大の図書館があり、数十万冊の書物を所蔵していたといわれています。
また、意外に思われるかもしれませんが、初期のイスラームは異教徒との交流にも積極的でした。
キリスト教徒とユダヤ教徒にも、税金を課す代わりに一定の自治権を認めていたので、当時のスペインはイスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒が共存する多様性溢れる国だったのです。
その名残は、現在使われているスペイン語にも……!
現代スペイン語の語彙の約8%は、実はアラビア語由来!特に「al-」で始まる単語(algebra、alcoholなど)はアラビア語から来ています。
スペイン旅行中に、栄華を極めたイスラーム文化の痕跡をたどりたい!というマニアな方におすすめなのが、グラナダのアルハンブラ宮殿。
13世紀〜14世紀に建てられたアルハンブラ宮殿は、イスラーム建築の最高傑作との呼び声高いスペインの世界遺産です。
約14,000㎡の広大な敷地に、アラベスクや幾何学模様などのイスラーム建築特有の豪華絢爛な装飾がほどこされています。
中には、キリスト教徒によって建てられた小宮殿もあり、イスラーム文化とルネサンス様式が融合した世にも珍しいユニークな構造を見られます。
歴史に翻弄されながらも、独自の文化と多様性を築いてきたスペインの魅力にやられること間違いなしです!
16. スペインは中央ヨーロッパ時間を使用している。
地理的にみると、スペインはイギリスやポルトガルと同じ西ヨーロッパ諸国。
ということは、グリニッジ標準時(UTC+0)を使用するのが自然ですよね?
ですが、スペインはそれよりも1時間進んだ「中央ヨーロッパ時間(UTC+1)」を採用している珍しい国なのです。
このタイムゾーンのずれは、第二次世界大戦時代に生まれました。
1940年、フランシスコ・フランコ独裁政権下のスペインは、ナチス・ドイツとの関係を強化するため、ドイツと同じ時間帯をあえて採用したのです。
第二次世界大戦の終結後も、中央ヨーロッパ時間が使用され、現在に至っているというわけ。
意外にも歴史や政治が絡んだ複雑なルールなんですね。
この時間設定によって、スペインの日の出と日の入りの時間は他のヨーロッパ諸国と比べて遅くなっています。
たとえば、夏のマドリードでは、夜の22時過ぎまで日が沈まないなんてことも。
地理を考えると本来なら「-1時間」すべきところなので、スペイン旅行中は1日がとても長く感じはず!
実際に、スペイン人からも不満の声が上がっているようです。
労働時間が長くなってしまったり、睡眠時間が十分に取れなかったり、さまざまな問題が指摘されています。
最近では、スペイン政府も時間帯の変更を検討しており、西ヨーロッパ時間への移行が実現するかもしれません。
17. スペインには世界最多のブルーフラッグビーチがある。
スペインは、世界で最も多くの「ブルーフラッグビーチ」を持つ国です。
ブルーフラッグとは、ビーチやマリーナの質の高さを示す国際認証で、これを取得するためには水質、環境教育と情報、環境マネジメント、安全性とサービスの4つの厳しい審査基準をクリアしなければなりません。
2023年の時点で、スペインには約700のブルーフラッグビーチがあり、これは世界全体の約15%を占めるほど!
たとえば、コスタ・デル・ソル地方のマルベーリャには、8つのブルーフラッグビーチがあります。
砂浜や海の透明度などビーチの美しさは去ることながら、教育の行き届いたライフガード、バリアフリー設備などの管理体制の高さもピカイチ。
ブルーフラッグビーチがこれほどまでに多い理由は、スペインの観光産業にあります。
スペインのGDPのうち観光が12%を占め、数百万人規模の雇用を生み出しているといわれています。
その中でも、ビーチリゾートは観光産業の柱。
イビザ島、マヨルカ島などをはじめ、地中海や大西洋沿岸エリアは大人気の観光地です。
スペインにとって、美しいビーチは重要な観光資源だからこそ、政府や地方自治体は環境保護と設備の整備に力を入れています。
本格的なウォータスポーツから刺激的なナイトライフまで楽しめる、スペインのビーチを堪能してみてください!
18. スペインには4つの公用語がある。
スペインは「4つの公用語」を持つ国だと知っていましたか?
私たちが日ごろ「スペイン語」と呼んでいるのは、カスティーリャ語。それ以外にも、カタルーニャ語、ガリシア語、バスク語が話されています。
細かくみていくと、スペイン語(カスティーリャ語)は約4,700万人の話者がいる、国全体の公用語です。
スペインの公式文書などで使用されるのは、スペイン語になります。
カタルーニャ語は、約1,000万人に話されているといわれており、カタルーニャ州、バレンシア州、バレアレス諸島の公用語です。
バルセロナを観光する際には、街中の道路標識や案内板をぜひチェックしてみてください。
基本的位に、スペイン語とカタルーニャ語の両方で書いてあるはずです!
ガリシア語は、ガリシア州の公用語で、約250万人に話されています。
地理的関係からかポルトガル語によく似ていて、スペインの北西部で広く使用されています。
最後のバスク語は、バスク州とナバラ州の一部地域でのみ使われている謎に包まれた言語。
約75万人の話者がいるといわれていますが、スペイン話されている他のインド・ヨーロッパ語族とはまったく違う構造を持っています。
何年もの間、言語学者たちの胸をくすぐり続けているロマン溢れる言語なんですよ!
1つの国でも、訪れる地域によってまったく異なる言語や文化を味わえるのも、スペイン旅行の魅力のひとつ。
各地の歴史名所めぐりもよし、ヨーロッパ周遊を楽しむもよし、地中海クルーズで優雅に過ごすもよし!
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